
出典:板橋区
コンポストは多くの場合堆肥と同義に使われています。最近では生ごみを堆肥化する容器コンポスターの事をコンポストと呼ぶことも有ります。ここでは生ごみの環境に及ぼす影響と堆肥化による再利用について生活目線で書いて行きます。
目次
一人が一年間で140kgの生ごみを排出

出典:京都市
平成22年の京都市の可燃ごみの排出量は497,130トンで、一日一人当たり約924gでした。そのうちの41%が生ごみでした。約380gです。年間にすると約140kgです。体重の2~3倍にあたる量ですね。
生ごみの22.2%は手つかずの食品

出典:京都市
生ごみの内訳は56%が調理くずで38%が食べ残し。その中でも全体の22.2%が賞味期限切れなどの手つかずの食品だったそうです。ばあちゃんが聞いたら「もったいない、バチが当たる」と怒るでしょう。私も悲しく思います。
生ごみ1トン焼却するのに灯油55リットル分のエネルギー

出典:袋井市
生ごみは可燃ごみとしてごみ焼却施設で焼却されます。生ごみの80%は水分です。1kgの生ごみの場合800gが水です。これを蒸発させるには480kcalのエネルギーが必要となります。灯油1リットルの発熱量は8,718kcalなので、55CC必要です。生ごみが1tになると55リットルの灯油と同じ熱量が使われていることになります。
他の可燃ごみと一緒に燃やすので実際にはこれだけの燃料が使われることは有りません。多くの処理場では廃熱が給湯や発電などに利用していので失われた熱量は無駄に消費されたことになります。
袋井市では一日一人50ccの生ごみの水切りをすると年間で約1000万円のごみ処理費が削減できるというキャンペーンをしています。下のような方法で水を絞って生ごみを捨てるのだそうです。市民一人一人の協力が大切ですね。心がけたいものです。

出典:袋井市
生ごみからコンポスト(堆肥)を作る工場

出典:リースキン
こんな困った生ごみを堆肥にして有効利用する試みが有ります。芸北広域環境施設組合は、地域の食品加工場の生ごみや酪農場の廃棄物や地域の排水処理施設などの廃棄物を原料にして堆肥にしています。この試みは全国各地で行われています。
家庭でもできるコンポスト

出典:ウィキペディア
コンポスターの使い方基本編
生ごみから堆肥を作るコンポスターの利用の仕方は
1. 日当たり、水はけのよい場所を選んで設置する
2. 生ゴミや原料は「新鮮なうちに」「細かく切って」「水切りしてから」入れる
3. 原料には土を被せる
4. 中身をかき混ぜる
5. 満タンになったら保温して放置する
この状態で完熟して匂いがないふかふかの堆肥になったら完成です
熟成する期間を考えると2台並べて置く方法が良いですね。
入れてはダメなもの
肉、骨、貝殻、調理された食品(特にドレッシングや油たっぷりのもの)、竹の子の皮、石炭や木炭の灰、犬猫や人の糞尿、そして病気におかされた植物
入れてよいもの
黒土、落ち葉、病気にかかっていない刈り取った草花、乾燥させた芝や雑草、野菜くず、卵の殻、茶葉、コーヒーかす(少量のみ)、牛・豚・鳥のフン
コンポスターの使い方裏技編
我が家はコンポスターを基本に反した使い方をしています。使い方に納得して購入したのではなく、隣家の引っ越しを見ていたら邪魔そうに「これいる?」と言われて「はあ」と気の抜けた返事をしてしまったので家の庭に来てしまったのです。
当然堆肥を作って利用する気もありません。ホームセンターで買ってもいくらでもないからです。
そんなコンポスターですが大活躍しています。ドラフトの下位で入った選手が大活躍しているような状況です。それは「魔法の生ごみ処理機」だからです。コンポスターの使い方基本編に「5.満タンになったら保温して放置する」とありますが全く満タンにならないのです。
キッチンから出る食品残渣の全てを水も切らないで入れてしまいます。魚の骨も筍の皮もなんでも入れます。時に八分目位まで上がってきてもしばらくするとその姿が無く下の方まで下がっています。不思議です。でもとても助かっています。
野菜用の堆肥に使わなければ殺虫剤を使っても大丈夫です。この使い方は皆さんにお勧めすることは出来ません。もし実施する場合は自己責任でお願いいたします。
コンポスターの価格と補助金
アマゾンで「コンポスター」を検索してみると良く見慣れている表題の写真のようなもので4,500円位から出品されています。大分お手頃な価格になって来ました。
コンポスターの購入には市町村に補助金制度があるところが有りますので賢く利用したいですね。
コンポスターを購入するなら、発酵促進剤やコンポスト用の菌床もを購入しておくと便利なのでおすすめです。
庭が無くても出来るコンポスト

出典:サクラエコクリーン
コンポスターは庭に本体の足元を埋めるだけのスペースが必要です。匂いやコバエなど隣近所への配慮も必要です。そのようなスペースが取れない方へのお勧めは生ごみ処理機です。
微生物で分解するタイプと乾燥させるだけのものが有ります。それぞれ多様な種類が有り価格もまちまちです。堆肥を利用したいとか要らないとか、ご自分の生活に適したものであるかどうかを吟味する必要があります。乾燥式だと乾燥するだけなのでほとんど手間がかかりません。キッチンのごみ処理のスペースに置けば設置完了です。湿気た生ごみが家に置いてあるのは不快なものです、乾燥したものはかさも小さくなって処理が楽です。設計段階で置くスペースとコンセントを用意することを忘れないようにしてください。
乾燥させた生ごみは堆肥ではありませんが植木鉢や菜園に埋めておけば堆肥を入れたのと同様の効果があるようです。こちらも自治体から補助金が出るケースもありますので上手に利用したいものです。
生ごみ処理・原始的方法

郊外の庭や菜園のある家では生ごみは庭や菜園に埋めていました。庭の木の下や菜園の畝の間です。数か所の場所を決めてローテーションしながら埋めて行きます。元に戻るころには生ごみは消えてまた埋められるようになっています。柿の木の下などに埋めると美味しい柿が食べられそうですね。
魚の骨や肉などを埋めると猫や他の動物が来て荒らすので避けたほうが良いです。生ごみを埋めるとミミズが繁殖します。すると土がふかふかになって保水性が高くて水はけが良い団粒化した土になります。ミミズが増えるとモグラが来ることにもなりますが、迷惑がらずに豊かな自然の共生する姿なのだと理解すると良いと思います。
まとめ
生ごみを焼却処分することが大きな環境負荷になっていることが分かりました。補助金を使ってでもこの負荷を小さくしようとする自治体の苦心も見えてきます。日常生活の中でそれほど難しくない方法で生ごみをコンポストにして利用するいくつもの方法が有ります。自分の生活に合った方法で上手く利用して行きたいものですね。

サクドン

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