
11.032017
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エクセルギーについて、エクセルギー率という考え方、エクセルギーを利用した身近な実例としての電気ストーブとヒートポンプの違い、ヒートポンプの仕組み、最先端で進められているエキセルギー再生の技術とそれを生かしたエキセルギー循環について、5項目に分けてお話ししていきます。
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出典:大阪ガス
エネルギーのうち、有効な仕事として使えるエネルギーを「エクセルギー」と呼びます。上の図のように天然ガスを燃焼させてタービンを回して発電する方法だとエクセルギー損失が大きく、一次エネルギーの60%以上が発電ロスになっています。
何でそのようなことが起こるのでしょうか?
あるものからどのくらいのエクセルギーが取り出せるかという指標をエクセルギー率といいます。電気エネルギーのエクセルギー率は100%、化石エネルギーは90%以上なのに対し、熱エネルギーは100℃くらいで10%前後、1000℃くらいでも50%でしかありません。熱エネルギーだけがその割合がものすごく低いのです。熱エネルギーにはそのような性質が有ったのですね。
出典:環境ビジネスオンライン
エクセルギーを考える身近な例は電気ストーブとヒートポンプの比較です。電気ストーブのように電気エネルギーを直接熱に変えると97%のエクセルギーが失われます。エアコンのヒートポンプの方法だと、ヒートポンプを動かすエクセルギーは電気エネルギーです、それ以外に必要なエネルギーは電気ではなく、外気から吸い上げます。
その結果外気は少し温度が下がります。ヒートポンプが「空気から熱を取り出す」と言われるのはこのためです。この技術によって、同じだけ部屋を暖めるのに電気ストーブの1/3から1/6の電気しか使わずに済みます。
エアコンの方が電気ストーブよりも省エネだと言われる意味はこういう事だったのですね。
出典:日経トレンディ
ヒートポンプは電気でコンプレッサーを動かすことで熱エネルギーを暖房時には室外から室内に、冷房時には屋内から屋外へ移動させます。この不思議な仕組みを詳しく見て行きます。
コンプレッサーで冷媒を圧縮すると冷媒が高温になり気化します。冷房時にはこの高温の気体を屋外機で冷やして液化して室内機に送ります。室内機では液体が気化して室内から気化熱を奪います。暖房時はこの流れを逆転させて室内の熱を室外に運びます。
電気エネルギーを使っているのはコンプレッサーと屋外機と屋内機のファンだけなので少しのエネルギーで部屋を暖めたり冷やしたりすることが出来ます。
出典:日本林業調査会
東京大学生産技術研究所と新日鉄エンジニアリング(株)は2012年2月2日、バイオエタノール製造に必要なエネルギーを大幅に削減できる新技術を開発したと発表しました。エキセルギーに関しての「自己熱再生理論」を、バイオエタノールの蒸留プロセスに適用し、従来よりも消費エネルギーを約85%削減できることを確認しました。
これは東大の堤先生がエクセルギーの研究成果から、バイオエタノールという燃料を作り出すのに化石燃料で原料を加熱する事への不合理を指摘し、加熱は初期段階のみで化学変化が起こり始めたらそこから発生する熱を利用するようにすることで実現しました。
堤先生はこの仕組みを進め、さらに再生エネルギーを利用することで、今まで利用されずに捨てられていたエネルギーを再利用できるようにして、エクセルギーの循環を達成することを提唱しています。
エクセルギーという聞きなれない言葉でしたが調べてみて知ってみると奥行きの深さを感じます。省エネルギーの技術が進むことで持続可能な文明が形成されることが待たれます。
温暖化が原因でなのしょうか?ここ数年の間に「これまで経験したことのない」と形容される大きな台風がたくさん発生しています。技術革新で穏やかな地球に戻ってほしいと思います。
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