amazon1位『家づくりの教科書』を期間限定プレゼント!

期待されるバイオマスの利用

トウキビ畑

バイオマスの語源は生態学での「生物の量」を指す言葉のようです。最近は「生物由来の資源」を指すことが多くなりました。バイオマスを用いた燃料は、バイオ燃料またはエコ燃料と呼ばれています。ここでは「生物由来の資源」の意味でのバイオマスを取り上げます。

 

バイオマスの要件は生物由来でカーボンニュートラルと再生可能なこと

 

バイオマス日本バイオマス開発
出典:日本バイオマス開発株式会社

上のイラストを見ると鶏糞以外はすべて植物か植物だったものですね。広い意味では鶏糞も植物由来と言えます、、、鶏がミミズを食べるのは見なかったことにしましょう。このような資源がバイオマスです。
石油や石炭も元をただせば植物ですが化石燃料はバイオマスではありません。カーボンニュートラルではないからです。バイオマスは有機物であるため、燃焼させると二酸化炭素が排出されます。しかしこれに含まれる炭素は、そのバイオマスが成長過程で光合成により大気中から吸収した二酸化炭素に由来すします。そのため、バイオマスを使用しても全体として見れば大気中の二酸化炭素量を増加させていないと考えてよいとされます。
バイオマスは、生物と太陽エネルギーがある限り持続的に再生可能な事が要件だからです。難しく言うと「再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」と定義されています。

 

バイオマスの利用形態

バイオマス日本バイオマス開発2

出典:日本バイオマス開発株式会社

バイオマスの利用形態は
1、薪・木炭など個体燃料
2、メタンガスにして気体燃料
3、メチルアルコールとして液体燃料
として用いられます。それぞれの実例を見て行きましょう。

 

間伐材石炭混焼発電

石炭間伐材混焼発電環境ビジネスオンライン

出典:環境ビジネスオンライン

バイオマスを固体燃料として利用する方法の一つに、火力発電の燃料として石炭と一緒に間伐材を燃焼させる、混焼方式が有ります。化石燃料の石炭の一部を間伐材に置き換えることで二酸化炭素の排出を抑制するものです。
新日鉄住金は、「製鉄所内の石炭火力発電所において、石炭と混焼する間伐材など木質バイオマス資源の利用を拡大する。本取組みを通じて、さらなる省エネルギー、温室効果ガスの削減ならびに地域における林業振興への貢献を図る。」としています。
間伐材の処理と林業の振興につながれば一石三鳥になりますね。

 

バイオガス発電

バイオガス発電

出典:株式会社イーパワー

 

バイオマスをガス化して利用する方法では、バイオマス発電が有ります。工場廃棄物や畜産農場の糞尿や生ごみや排水汚泥などを発酵させてメタンガスを発生させます。そのガスをバイオガス燃料として火力発電機を動かします。発電の廃熱は発酵槽の加熱に利用してエネルギーの無駄をなくします。メタン発酵した残渣は堆肥や液肥に利用され無駄なく利用される仕組みになっています。

 

カーレースの燃料

2015インディ500ジャック・アマノのINDYCARレポート

出典:ジャック・アマノのINDYCARレポート

バイオマスを液化して利用する方法としてアルコールをガソリンと混合した燃料が一般化されています。
アメリカで行われるカーレースのインディ500では、ガソリンの引火事故をきっかけに、2012年シーズンよりエタノール(生物由来)85%・ガソリン15%の混合燃料が採用されています。引火温度がガソリンよりも高いだけでなく消火するのに水を利用できることも採用のポイントでした。
カーレースだけでなく一般市場でもE15、E10、E3などガソリンに15%~3%エチルアルコールを混合した燃料が販売されたりしています。日本でも鳴り物入りで発売されましたがその後はじり貧の状況です。米国でも決して順調な展開ではない様子です。混合燃料が堅調な成果を上げていないのは価格の問題や供給施設・エンジンへの負担などの問題があるようです。

 

 

まとめ

バイオマスに関して個体、気体、液体の3種類の状態での利用の例を見てきました。まだまだ研究開発の途上にある技術が多いように思えます。食用に出来るサトウキビやトウモロコシが燃料用に消費される「食料vs燃料」の問題も解決されたとは言えません。今まさに日進月歩で技術革新が行われていて今後に期待がもてる分野です。

 

The following two tabs change content below.

サクドン

何でも知りたがりの好奇心旺盛オヤジ。 役に立たないことでも気になることは調べておきたい性格です。 東京を離れて太平洋のさわやかな空気が心地よい千葉で田舎暮らしをしています。 ナニワ生まれの相方と畑でとれた野菜とスーパーの見切り品を使った 手作り料理で心身ともに満足の日々を送っています。 私の好奇心が皆様のお役に立てたらうれしいです。一級建築士、介護福祉士